<パート5>相 続

(3)遺 言

1.遺言とは、死後の争いを未然に防ぐ対策の一つとして、死後の財産関係などを、一定の方式で生前に定めておくことです。

遺言には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3つの方法がありますが、ここでは公正証書遺言について述べます。

2.公正証書遺言には、次のような利点があります。

(1)法律専門家である公証人が、相談を受けて公文書として作成するので、法律上完全であるし、信頼性が最も高いものです。
(2)原本は公証人役場で保管するので、第三者に改ざんされるおそれがなく、また、紛失したり盗難にあった場合も原本にもとづき再発行できます。
(3)他の相続人の同意がなくとも、正本にもとづき単独で相続登記ができます。
(4)自筆証書遺言、秘密証書遺言と違い、家庭裁判所の検認を受ける面倒な手続きが一切不要です。

3.遺言者は、遺産をどのように配分するか遺言で自由に定めることができます。遺言をしておかないと、法定相続人全員による遺産分割協議、又は民法で定められた法定相続分で相続されることになります。また、遺言の変更、取り消しも自由に行うことができます。

4.公正証書遺言を作成した場合は、次の書類が必要となります。

(1)遺言者の印鑑証明書
(2)戸籍謄本
(3)土地・建物について遺言したいときは、不動産登記簿謄本及び固定資産評価証明書。預貯金であれば金融機関発行の残高証明書。
(4)その他住民票が必要な場合があります。

5.公正証書遺言をする場合は証人2名が必要です。
ただし推定相続人、受遺者又はその配偶者、未成年者は、証人にはなれません。

以上が、公正証書遺言についての内容及び手続きです。実務的には、事前に弁護士や司法書士などに相談し、そして、弁護士や司法書士を通じて公証人に遺言の作成を依頼した方が、スムーズに行えます。